<Header>
<Author: 王維>
<Title: 西施詠>
<Format: 格式不明>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文有假名>
<style2: 日本現代譯文附假名標注>
<TranslatedTitle: 西施の詠>
<BookPage: 102>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
豔色天下重，
西施寧久微。
朝仍越溪女，
暮作吳宮妃。
賤日豈殊衆，
貴來方悟稀。
邀人傅香粉，
不自著羅衣。
君寵益嬌態，
君憐無是非。
當時浣紗伴，
莫得同車歸。
持謝鄰家子，
效顰安可希。
<End Poem>
<Translation>
女性（じょせい）のあでやかな容色（ようしょく）は、世（よ）のすべての人々（ひとびと）の重（おも）んずるところであって、西施（せいし）ほどの美女（びじょ）がどうして長間（ながいあいだ）、微賤（びせん）なままで世（よ）に現（あらわ）れないことがあろうか。その日（ひ）の朝（あさ）までは越（えつ）の若耶渓（わやけい）の谷間（たにま）のうすぎぬを洗（あら）う女（おんな）であったものが、その夕暮（ゆうぐ）れには早（はや）くも吳王（ごおう）夫差（ふさ）の宮殿（きゅうでん）のきさきとなっていた。

低（ひく）い身分（みぶん）のころ、どうして世（よ）の人々（ひとびと）と異（こと）なるところがあったろうか、身分（みぶん）が高（たか）くなってから、はじめて世（よ）にもまれなる美女（びじょ）であると気（き）づいたのだ。かしづく人（ひと）を呼（よ）び迎（まか）えて化粧（けしょう）をしてもらい、西施（せいし）自身（じしん）が自分（じぶん）でうすぎぬの衣（ころも）を着（き）るようなことはなくなった。君主（ぐんしゅ）の寵愛（ちょうあい）によって、ますます美女（びじょ）の姿態（したい）は、なまめかしくなり、君主（くんしゅ）の愛（あい）の甚（はなはだ）しさは、その是非（ぜひ）の分別（ふんべつ）も失（うしな）われ西施（せいし）のいいなりとなるありさま。

若耶渓（わやけい）でうすぎぬを洗（あら）っていた当時（とうじ）の仲間（なかま）たちで、西施（せいし）とともに同（おな）じ車（くるま）に乗（の）って帰（かえ）ることのできる者（もの）はいないのだ。だから、そこで隣近所（りんきんじょ）の子女（しじょ）に告（つ）げよう。西施（せいし）のような美貌（びぼう）を持（も）たないのにむやみにそのまねをして顔（かお）をしかめ、美（うつく）しさを示（し）めそなどとどうして願（ねが）うべきであろうかと。
<End Translation>